[最近の話題から

 最近100才以上の高齢者生存確認の話題がニュースとなっていますが,一昔前の高齢者の話題といえば,「きんさん,ぎんさん」や「泉重千代さん」であり,明るい話題として社会が受け止めていたと記憶しています。同じ高齢者の話題であっても,今回の問題は生存確認といった暗いダーティな面が前面に出され,雰囲気は前者と大きく違います。

 今回の報道等の裏には,様々な人間模様や諸般の事情があると考えられますが,親が親として,子供が子供として扶養の問題,相続の問題を真剣に話合う機会が少なくなった結果の表れだと思います。家族が核家族化し,お互いの生活に干渉しない,迷惑かけたくないといった風潮が双方にあるように思います。

「遺言ブーム」

 私たちの仕事柄,よく聞く話の一つに「相続」というキーワードがあります。「遺言ブーム」ともいわれ,本屋さんなどで「遺言書作成キット」として,遺言書の書き方などの見本とともにセット販売されています。

 ここで注意したいのは,遺言は民法で定められた厳格な様式をクリアーしていなければならないことです。遺言の無効性を問うたりして,あげくの果てに遺言書が紛争の火種になる可能性があることも忘れてはなりません。

「遺言と分割協議」

 遺言は,生前に自分の死後の財産処分方法を含め,予め書面で表しておくのに対し,遺産分割は自分の死後,相続人全員が残された財産をどのように分けるかを協議し,遺産分割協議書として作成するもので,故人の意思が反映されていないともいえます。

 遺言書は遺言する人の意思の反映であり,後日の相続争いを未然に防ぐのに有効であるばかりでなく,お世話になった方や,いろんな方に自分の財産を直接譲り渡すことも出来ます。

 遺産分割は相続人全員の協議の結果ですから,法律で定められた相続人以外の者に直接譲り渡すような内容の協議は出来ません。

 もちろん,相続には借金や負担だけが残される場合もあり,遺言や分割協議だけで片づかない場合もあります。

「相続とその思いは」

 相続は,亡くなられた方の人生の集大成であり,後始末とも言えます。生前中に予め自分の人生のエンディングをどのようにしたいのか,財産の分配だけが遺言でなく,延命治療の有無,臓器提供の可否等も含めて,葬儀の方法,埋葬に関することや子供たちに言い残したいことなどを,生前中から話合っておかれるのがいいと思います。

 義務を避け,権利を優先する考えに陥りやすい世相の中で,自分の将来,特に老後のことなど,機会ある毎に子供たちと語り合うことが重要と考えます。親が常々考えていることを,子供たちに伝えることにより,子供たちもその気持ちを受け止め,老後のことや死後のことを真剣に考えてくれるのではないでしょうか。どの親も,子供たちの相続争いを望んでいるはずはありません。争いに費やす労力は大変なものがあります。

「思いの伝え方」

 遺言書の作成や遺産分割協議,成年後見など高齢者が抱える問題は,親族とりわけ子供たち自身に関わってくる問題でもあるわけです。子供さんがいないご夫婦にとっては,残される配偶者のことを,常に念頭に入れておく必要があります。独身の方は将来のことを誰に託すのか,元気なうちに考えておく必要があります。

 決してまだ早いということはありません。考えはいつでも変えられます。まずメモからでも構いません。練習のつもりで始められてはいかがでしょうか。

 考えがまとまったら,遺言書を作成すればよく,その遺言書を作成するお手伝いを我々司法書士が,ご相談にのりながらお手伝いさせていただきます。

「遺産分割について」

 遺言書がない場合,相続が開始しましたら,なるべく早い時期に相続の手続きについて,話し合われることをお勧めしています。先延ばしすることは,次の相続が開始したりして,相続関係がより複雑になる可能性が大きくなります。

 相続はこれから先,ますます複雑になってくると思います。戦前のような「家督を継ぐ」と言った考えはありません。しかし親の面倒は,誰かが看て行かなければなりません。

 相続権という権利が一人歩きして,扶養の義務がなかなか全面に出てきません。

「専門家の利用」

 老後の財産管理と資産の承継について,個人が自分の財産を信託する方法(個人信託)があります。信託会社や信託銀行に任せるのでなく,自分の子供を受託者にし,自分が受益者となることが可能です。

 この信託を利用する場合について,平成22年8月29日付け日本経済新聞に「あまり知られていない資産承継と財産管理」と題して特集されていました。

 高齢者の扶養や介護,後見,資産承継,相続に関わる問題には,様々な人間模様が複雑に絡まっています。我々司法書士や税理士、社会保険労務士等,それぞれの専門家が集まって「京都アロイネット・アドバンス」という実務家士業集団を作って対応,研究させていただいています。

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